8月
9日
世界先住民族の国際デー
世界の記念日世界先住民族の国際デーとは
8月9日は「世界先住民族の国際デー(International Day of the World's Indigenous Peoples)」です。1994年12月23日、国連総会の決議(A/RES/49/214)によって制定されました。8月9日という日付は、1982年8月9日に国連人権委員会の「先住民族の権利に関する作業部会(Working Group on Indigenous Populations)」が初めて会合を開いたことに由来しています。
世界の先住民族の現状
「先住民族(Indigenous Peoples)」とは、ある地域に植民地化・国家形成以前から居住し、独自の文化・言語・慣習・社会制度を持ち続けてきた人々を指します。
- 規模:世界に約5,000グループ、90か国以上に分布する先住民族の人口は約4億7,600万人。世界人口の6%を占めるにすぎないが、人類の文化的多様性の大部分を担っている。
- 言語の危機:世界に存在する約7,000の言語のうち、約4,000が先住民族の言語とされる。しかしそのうち40%以上が消滅の危機に瀕している。言語が失われることは、その言語にしか存在しない知識・文化・世界観が永久に失われることを意味する。
- 土地と環境保護:先住民族が管理する土地は地球上の陸地面積の約22%にすぎないが、そこには世界の生物多様性の約80%が集中しているとされる。先住民族の伝統的な土地管理は、現代の環境保護に多くの示唆を与えている。
日本の先住民族——アイヌ民族
日本においても、北海道を中心に独自の文化・言語・精神世界を持つ「アイヌ民族」が先住民族として国際的に認められています。
- 歴史:アイヌ民族は北海道・サハリン・クリル列島などに古くから居住してきた。日本への同化政策により、明治時代以降、言語・文化が急速に失われた。
- 2019年に法的認定:「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(アイヌ施策推進法)」が成立し、アイヌ民族が日本で初めて「先住民族」として法律上に明記された。
- ウポポイ:2020年7月、北海道白老町に「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が開設。アイヌ文化の復興・発信の拠点として、伝統的な衣食住・儀礼・音楽(ウポポ)・踊り(リムセ)が紹介されている。
世界先住民族の国際デーにまつわる豆知識
- 「先住民族の権利に関する国連宣言(UNDRIP)」:2007年9月、国連総会で採択。先住民族の土地・文化・自決権などを包括的に定めた重要な文書。日本も賛成票を投じた。
- 2022〜2032年:先住民族の言語の国際10年:消滅危機にある言語の保護に向け、国連が「先住民族の言語の国際10年(2022〜2032)」を設定している。
- 伝統的知識と現代科学:先住民族が長年蓄積してきた植物・動物・気象・農業に関する伝統的知識は、現代の医学・環境科学・農業技術に活かされるケースが増えている。
- 「カカポ」とマオリ族:ニュージーランドの先住民族マオリの協力なしに、飛べない鳥カカポの保護活動は成立しない。先住民族の知識と現代の自然保護科学の連携が生きた事例となっている。
8月9日の意味と今日を過ごすヒント
- 「ウポポイ(民族共生象徴空間)」のウェブサイトや関連書籍でアイヌ文化に触れ、北海道の地名の多くがアイヌ語に由来することを知る機会にする。
- 消滅危機言語のドキュメンタリーや映像作品を視聴し、文化の多様性が失われることの意味について考える。
- 先住民族が地域の生態系を守ってきた方法を学び、自然との共生について現代の視点から考える機会にする。
多様な文化の声に、耳を傾ける日
8月9日の「世界先住民族の国際デー」は、地球上に息づく無数の文化・言語・世界観に思いを馳せ、「人間の多様性」の豊かさを改めて認識する日です。先住民族の知恵と歴史は、画一化が進む現代社会において失われゆく何かを映し出してくれます。今日は一歩立ち止まり、あなたが住む土地の歴史と、そこに生きてきた人々の声に耳を傾けてみてください。